メインコンテンツへスキップ

SYMPOSIUM

11月6日(金)18:00–20:00(17:30開場)

無料、事前申込制

慶應義塾大学 三田キャンパス 西校舎ホール

これほど多くの情報が指先ひとつで手に入る今日、歴史そのものがこれまで以上に激しい論争の対象となっているようにも感じられます。ソーシャルメディアでは歴史をめぐる恨み言が絶え間なく流れ、ニュースでは、国家の歴史をどう語るかをめぐって政治権力と大学、美術館、その他の研究機関が対立する様子が報じられています。さらに、大国政治が世界規模で復活している現状は、各国の指導者たちが過去の教訓を意図的に顧みていないかのような印象さえ与えます。そして美術界も、その渦中にあります。歴史をめぐる対立は、美術とその周辺領域を通じて、より強く公共の目にさらされるようになっています。それは、検閲、抗議、企画の中止、さらには記念碑の撤去、建立、改変をめぐる出来事が繰り返し示してきた通りです。

一見すると、こうした状況は現代美術の活動にとって決して好ましくないように感じられ、美術機関やアーティストを、リスクを引き受けることよりもリスク管理へと退かせるように思えます。しかし現代美術は、意外なほど、イコノクラスム(図像破壊)の行為を耐え抜き、ミーム・マシンや「AIスロップ」によって増幅されるバイラルなプロパガンダに対抗する力を備えています。そもそも現代美術のDNAには、イメージの創造だけでなく、その解体も深く刻み込まれています。即座に理解させるのではなく、あえて意味の遅延をもたらすこともその本質です。情報が瞬時に行き交う現代の不安を問い直すには、まさに美術の世界こそが適しているのではないでしょうか。そして、ますます緊張の度合いを強める言説環境に応答するために、芸術がもつ「記憶をつくる力」を、私たちはどのように編み直すことができるでしょうか。

今年のAWT TALKSシンポジウムでは、現代美術を通して歴史の「残響」と向き合い、それを検証するための新たなアプローチを切り拓いている3名の国際的なキュレーター/リサーチャーを迎えます。東京を拠点とする美術史・社会史研究者の足立元、ライター、リサーチャーであり、第61回ヴェネチア・ビエンナーレ芸術監督のキュラトリアル・アドバイザーを務めるラシャ・サルティ、そして上海のロックバンド美術館エグゼクティブ・ディレクター兼チーフ・キュレーター、X・ジュー=ノウェルです。

足立は展覧会「望月桂 自由を扶くひと」(2025–26年)を中心メンバーとして企画しました。先駆的な前衛芸術団体「黒耀会」の一員として歴史に名を刻みながらも、第二次世界大戦後に忘却されていった芸術家・活動家、望月桂の活動を再検証するきわめてユニークなこのプロジェクトを、足立はキュレーター、アーティスト、アーキビスト、地域コミュニティのメンバーなど多様な参加者とともに展開しています。今年のAWT VIDEOのキュレーターでもあるジュー=ノウェルは、20世紀における黒人急進思想とアジアの革命政治との、これまで見過ごされてきた国境を越えたつながりを再検討する展覧会「The Great Camouflage」(2025–26年)を近年共同企画しました。サルティは、1978年の「パレスチナのための国際美術展」をめぐるアーカイブ展「Past Disquiet」(2015–25年)を共同企画し、この展覧会はこの10年間、複数の大陸にまたがる主要美術館を巡回してきました。また彼女は故コヨ・クオーが芸術監督を務めた今年の第61回ヴェネチア・ビエンナーレでキュラトリアル・アドバイザーを務めています。歴史的な地政学的動揺のさなか、同ビエンナーレの「In Minor Keys」という構想は、「静かな音色、低い周波数、そして微かな響き」に耳を澄ますことによって、「恐るべき時代にあっても、私たちを新たにし、支えてくれる、親密で友好的な世界」へと通じる扉を開くことができると示し、ひとつの進むべき道を提示しています。

本シンポジウムは英語で行われ、日本語への同時通訳を実施します。

AWT TALKSシンポジウムは、アートウィーク東京の企画として、アンドリュー・マークルと塩見有子が企画し、慶應義塾大学アート・センター、慶應義塾ミュージアム・コモンズと共同で開催します。


足立元

GEN ADACHI

美術史・社会史研究者、望月桂調査団代表

足立元の画像

ラシャ・サルティ

RASHA SALTI

リサーチャー、ライター、キュレーター/第61回ヴェネチア・ビエンナーレ芸術監督アドバイザー

ラシャ・サルティの画像

X・ジュー=ノウェル

X ZHU-NOWELL

ロックバンド美術館(上海)エグゼクティブ・ディレクター兼チーフ・キュレーター

X・ジュー=ノウェルの画像

Photo by Sokol


アンドリュー・マークル

ANDREW MAERKLE

AWTエディトリアルディレクター

アンドリュー・マークルの画像

Photo by Yukiko Koshima

11月6日(金)
18:00–20:00(17:30開場)

無料、事前申込制

定員
800名
言語
英語・日本語(同時通訳あり)
主催
アートウィーク東京モビールプロジェクト実行委員会、東京都、慶應義塾大学アート・センター、慶應義塾ミュージアム・コモンズ