TALKS

時間と空間を越えて:塩見允枝子の世界
「グループ・音楽」「フルクサス」のメンバーとして知られる塩見允枝子へのインタビュー。即興演奏の練習中に行なった何気ない振る舞いをきっかけに「イヴェント」と呼ばれる詩的なアクションへと至った塩見は、以後、音楽、美術、パフォーマンスなどの領域を越えて現在まで活動を続けている。軽やかにそしてグローバルに展開した芸術実践、90年代以後は電子テクノロジーやプログラミングも用いた新たなフルクサスの解釈と演奏など、半世紀以上に及ぶアーティストの歩みを振り返る。「アートウィーク東京」期間中、アートバスを使って発表される新作と、その参照点として、塩見も参加者の一人であった《バス観光ハプニング》(1966年)も紹介。聞き手は国立国際美術館主任研究員の橋本梓。


オンライントークプログラムは、オルタナティブなアート教育を担ってきた非営利のグループ、アーツイニシアティヴトウキョウ[AIT]によって企画されています。
塩見允枝子
1938年岡山市に生まれる。1961年東京芸術大学音楽学部楽理科卒業。在学中より級友達と「グループ・音楽」を結成。1964年ニューヨークへ渡り、フルクサスに参加。1965年航空郵便によって世界各国の人々と同じイヴェントを行なう「スペイシャル・ポエム」のシリーズを開始し、帰国後も10年間に9つのイヴェントを行なう。一方、イヴェントをパフォーマンスとしても拡大し、インターメディアへと至る。1970年大阪へ移住し、ことばと音を中心にした室内楽曲を多数作曲。1990年ヴェネチアでのフルクサス・フェスティヴァルへ参加して以来、欧米でのフルクサスの催物に頻繁に関わると同時に国内でもフルクサスの催物を自主的に企画。トランスメディアという独自の手法により、視覚作品、パフォーマンス、作曲など多ジャンルにわたる活動を現在も続けている。
塩見允枝子
Photo: 植松琢麿
橋本梓
国立国際美術館主任研究員。1978年滋賀県生まれ。2008年より同館に勤務。グローバルな美術史とローカルなアートの摩擦がもたらす創造性に関心を持ち、さまざまなキュレーションの実践を行う。主な展覧会に2013年「特集展示塩見允枝子とフルクサス」、2015年「他人の時間」、2016年「THE PLAY since 1967」、2018年「トラベラー:まだ見ぬ地を踏むために」、2021年「Viva Video!久保田成子展」ほか。
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橋本梓