AWT TALKS

シンポジウム

エキシビション・エクリチュール:展覧会はいかに語り得るか

慶應義塾大学 三田キャンパス 西校舎ホール
11月2日(木)10:00–12:30

*参加無料、事前申込制

近年、言説の手段としての「展覧会(エキシビション)」は、強い緊張状態にさらされています。ソーシャルメディアの普及、ソーシャルジャスティス(社会正義)への意識の高まり、新型コロナウイルス感染拡大によるソーシャルディスタンスへの影響といったあらゆる要素によって、展覧会が人々や社会へもたらすもの、それに対する私たちの期待は大きく変化しつつあります。展覧会には一体何ができて、私たちはそこにどのように関わることができるのでしょうか?
展覧会をつくる人々が、これまで以上に社会や制度への批評的立場の表明を掻き立てられているとすれば、それは逆説的に、映画評論における作家主義(politique des auteurs)的なアプローチへの意欲を展覧会のつくり手が失っているとも言えます。さらに、ローカルな統治や制度のなかで大規模な国際展を開催するにあたって、展覧会のための調査や企画という主な仕事のほかに、それに付随してステークホルダーとの間に生じる業務や対応にエネルギーを注ぐことがますます必要とされています。
こうした傾向に伴って、現代アートが普遍性を持つというこれまでの通念が覆されつつあるなかで、展覧会のつくり手が芸術文化や社会に対する強いビジョンを提示し、主義主張を唱えるような企画が生まれる時代はとうに過ぎ去ってしまったかのようです。
今日のメディアをとりまく環境によって可能となる「物語ること(ストーリーテリング)」の新たな形態や尺度とは、どんなものでしょうか。それは、リアルとバーチャル、ローカルとグローバルな文脈とをつなぐ好機を生み出す一方で、鑑賞者が「いま」「ここ」にある作品や展示空間との美的な対峙から注意をそらす恐れをはらんでいます。AIテクノロジーが急速に進歩するなか、私たちがオブジェを「介して」対話するのではなく、オブジェと「共に」対話するためには、どうすればよいのでしょうか。

今年のアートウィーク東京のシンポジウムでは、専門や地理的背景がさまざまな4名のキュレーターを招聘します。それぞれの「展覧会をつくる」状況を共有しながら、これからの新たな実践に向けた戦略を提案します。
登壇者は、本年初開催となるAWT FOCUSのアーティスティックディレクターの保坂健二朗、2024年の第8回横浜トリエンナーレでアーティスティックディレクターを務めるキャロル・インホワ・ルー(盧迎華)、AWT VIDEOで2022年にキュレーションを務めたアダム・シムジックと今年のゲストキュレーターのチュス・マルティネスの4名です。
前半に各登壇者がテーマに関してスピーチを行い、後半はアートウィーク東京のエディトリアルディレクターであるアンドリュー・マークルをモデレーターに、ディスカッションを行います。

AWT TALKS 
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登壇者

Photo by Keizo Kioku.

保坂健二朗 (AWT Focus)

Kenjiro Hosaka

滋賀県立美術館 ディレクター(館長)

Photo by Ohno Ryusuke.

キャロル・インホワ・ルー(盧迎華)

Carol Yinghua Lu

美術史家、キュレーター
北京インサイドアウト美術館 ディレクター、「第8回横浜トリエンナーレ」(2024年)アーティスティック・ディレクター

Photo by Nici Jost.

チュス・マルティネス (AWT Video)

Chus Martínez

北西スイス応用科学芸術大学附属バーゼル美術インスティテュート、ディレクター

© Melanie Hofmann, Zurich

アダム・シムジック

Adam Szymczyk

アムステルダム市立美術館 キュレーター・アット・ラージ「ドクメンタ14」(2017年、アテネ・カッセル) 芸術監督

モデレーター

アンドリュー・マークル

Andrew Maerkle

アートウィーク東京 エディトリアルディレクター

開催概要

日程 11月2日(木)10:00–12:30
会場 慶應義塾大学 三田キャンパス 西校舎ホール
定員 800名(事前予約制、定員に達し次第受付終了)
言語 英日同時通訳
料金
無料