ロジャー・マクドナルド x アンドリュー・マークル
わたしたちはどこにいる?
—日本における地域アートを再訪する
この数十年、日本各地において、地域再生を目標に掲げた多くのアート・フェスティバルやプロジェクトが興隆していることは、日本のアートのエコシステムにとって特筆すべきことだろう。これらは大きく「地域アート」と総称され、ソーシャリー・エンゲージド・アートの実践の場としても、また社会経済・環境・政治的な問題に対する応答の場としても、国内各地で議論を創出してきた。
アンドリュー・マークルとロジャー・マクドナルドによる本トークでは、アートを介した地域再生の好例とされる「越後妻有トリエンナーレ」(2000年〜)、地域アートの別のあり方を暗示するように福島の原子力発電所近辺の帰宅困難区域内で作品を展示する「Don’t Follow the Wind」(2015年〜)、政治的タブーと表現の自由をめぐって広く議論が起こり、一部の展示が脅迫を受けた「あいちトリエンナーレ」(2019年)を取り上げて、日本固有ともいえる「地域アート」にまつわる現象を考察する。(※音声は英語のみ、日本語字幕付き)
ロジャー・マクドナルド
NPO法人AITプログラムディレクター。学士では国際政治学、修士では神秘宗教学。博士号では書籍『アウトサイダー・アート』の執筆者ロジャー・カーディナル氏に師事し、美術史を学ぶ。1998年よりインディペンデント・キュレーターとして活動。2003年より美術大学にて非常勤講師として教鞭をとる。佐久市に移住後、2013年に実験的なハウスミュージアム「フェンバーガーハウス」をオープン、館長を務める。2022年6月、初の著書『DEEP LOOKING 想像力を蘇らせる深い観察のガイド』(AIT Press)を刊行。
アンドリュー・マークル
アートライター、エディター、翻訳家。『ArtAsiaPacific』副編集長を経て、現在は『ART iTインターナショナル版』副編集長を務める。『Artforum』『frieze』などに寄稿。主な翻訳に、フー・ファン(中英)や田中功起の執筆(和英)。主な出版物に、菅木志雄論集第1巻の英訳版(Skira社、2021年)。東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科非常勤。