AWT BAR
AN ArT SPACE FOR ALL THE SENSES
新進シェフによるオリジナルフードやアーティストとのコラボレーションカクテル、サウンドプログラムやパフォーマンスが楽しめるポップアップバーが、2025年も南青山にオープンします。
ARCHITEC-
TURE
建築
© ichio matsuzawa office
バーの設計は建築家の松沢一応が担当。建築家の選定はAWT BARのアドバイザーである妹島和世が行いました。岡山の犬島プロジェクトをはじめ、建築を取り巻く多様な環境との関係性を重視した設計で知られる松沢。今年のAWT BARは「浮かびあがる空間」と題し、空間全体に透過、ゆがみ、反射を生じさせることで、観る人それぞれに異なるダイナミックな環境空間認識を促します。
建築家ステートメント
浮かびあがる空間
光や風、周囲の景色や人の動きによって、固定された形を持たない空間をつくることはできないだろうか。
AWT BARでは極めて透明で薄いアクリルパーテーションを用い、「もの」としての存在感を極限までそぎ落とし、その時、その場でしか感じられない形なき空間を目指した。
様々な形に曲げられたパーテーションは、その透明さゆえに物質的な存在感を持たず、光の反射やゆがんだ像が生まれた瞬間にだけ、その存在が認識される。人はその像を知覚したとき、はじめて自らの空間を感じ取ることができる。
光の移ろい、風に揺れる景色、人々の動きによって像は現れては消え、蜃気楼のように新たな空間が絶えず生成される。この変化し続ける空間の中で、訪れる人々がそれぞれの感覚で“自分だけの空間”を楽しむことを願っている。
松沢一応
ICHIO MATSUZAWA

FOOD
フード
今年のフードを手掛けるのは、bricolage bread & co.のプロデューサーであり、ミシュラン三つ星レストランの「レフェルヴェソンス」のエグゼクティブシェフとして知られる生江史伸。国産小麦と自家酵母を使ったbricolage bread & co.のパンは、発酵という「生きた時間」を経て、小麦の育った土壌や酵母の気配、作り手の温度、季節の気候など、自然と人の要素を映し出す「風土の記録」。AWT BARでは、甘味(スクレ)と塩味(サレ)2種のフィンガーフードを通じて、食べるという行為の奥行きや感覚の記憶を感じる体験を提案します。
アーティスト コメント
アートと料理は、ともに“今の時代”を表現するものと思っています。AWT BARでも“今の食”を伝えることを意識しました。ジャンボンブールには、フランスの定番に日本の海藻文化を重ね、異なる文化や時間軸の交差を表現。フィナンシェは「ゴールドバー」という象徴的な形に着目し、金箔やターメリックで視覚的な価値を再構成しました。いずれも、見慣れたものを再解釈することで、味覚から思考が広がる“食べるアート”を目指しています。
生江史伸
SHINOBU NAMAE

海藻のジャンボンブール
スジアオノリを使った自家製の海藻バターと沖縄の「TESIO」によるハムを全粒粉バゲットに挟み、トサカノリと若ひじきの2種の海藻で作ったピクルスを加えました。海藻の食感とバターの香りが調和し、奥行きのある味わいに。国産食材を使用した特別なフィンガーフードです。(マスタードのみ、仏ディジョンマスタード)
金のフィナンシェ
大麦粉を使って焼き上げ、金箔を散らしたフィナンシェ。ターメリックを練り込み、華やかな見た目と豊かな香りを持たせました。「ゴールドバー」という形状がもつ象徴性(金・価値・資本)を踏まえ、黄金色や金箔の視覚的効果で視覚表現=造形的アプローチを強調。アートにおける“物質性の提示”や“象徴の再構成”を意識しました。国産素材にこだわった、上質な味わいの焼き菓子です。
COCKTAILS
アーティストカクテル
AWT会期中に参加施設で作品を見ることができるアーティストたちとのコラボレーションカクテルを味わえるのも、AWT BARならではの体験。今年はミサシンギャラリーで個展を開催する小沢剛、アノマリーで作品を展示するChim↑Pom from Smappa!Group、国立新美術館でのグループ展に出展するやなぎみわの3名が、それぞれ展覧会とリンクしたカクテルを考案します。視覚と味覚、感性を刺激するひとときをお楽しみください。

1.
小沢剛「汎大陸(パンゲア)」
アーティスト コメント
赤いリングを探してごらん
他の色たちも探してごらん
太古 大陸は1つだった
今みたいに 世界は分断などしていなかった
6つの大陸は 雄大な夕暮れの海になった
さあ あなたの中で 1つに溶かしておくれ
小沢剛
TSUYOSHI OZAWA


2.
Chim↑Pom from Smappa!Group「ゴールドエクスペリエンス」
アーティスト コメント
今、「ゴミ」とされている物の別の側面が見えた時、その意味や歴史が広がり価値観が揺れる。そんな体験の入口になるようなホットカクテルを作りました。ベースのグラッパはいまでこそ高級なものもありますが、元々はワインの搾りカスで作られる安酒でした。割り物は普段WALLで提供される料理の野菜くずからとったスープ。保温の焼き石にはゴミ袋をテーマとした私たちの彫刻作品の破片を使っています。実はビアンコカラーラというダビデ像と同じ山から切り出された大理石です。彩りに、日本では雑草とされる一方、海外ではハーブとして知られる季節の植物を添えました。カクテルのイメージの元となったのは宇宙デブリ。人類の進歩の欲望の結果、処理されずに宇宙に漂うデブリは核廃棄物にも似ています。けれどもその一つひとつがスプートニクやアポロ11号の破片かもと思うと想像が広がります。
チン↑ポム フロム スマッパ!グループ
Chim↑Pom from Smappa!Group.


3.
やなぎみわ「elevator girls」
アーティスト コメント
水底に沈むエレベーターガールたちの写真作品からイメージした艶やかなカクテル。エメラルドブルーのソーダの中に漂う赤い靴は、毒のある人造美の色に見えて、意外やクランベリーを凝縮した酸味あふれる味わいです。ビジュアルと味わいの差も、ぜひお楽しみください。
やなぎみわ
MIWA YANAGI

VISIT
「AWT BAR」開催概要
会場:港区南⻘⼭5-4-30 emergence aoyama complex
AWT BUS:F1、G3
会期:11⽉5⽇(水)–11⽉9⽇(⽇)
開場時間:10:00–22:30(ラストオーダー22:00)
料⾦:入場無料(フード・ドリンクは有料)