AWT
BUS
無料のシャトルバスで
アートを楽しみながら気軽に移動
無料のシャトルバスで
アートを楽しみながら
気軽に移動
東京のアートシーンを代表する50以上のアートスペースとアートウィーク東京(AWT)の独自プログラムを、無料のシャトルバスがつなぎます。今年のシャトルバスは複数のルートを午前10時から午後6時まで約15分おきに巡回。どの停留所からでも乗り降りは自由です。バス乗車時に配布されるAWT参加証を提示すると、参加美術館で開催される展覧会の一部で割引が適用されます。
さらに今年は東京都とベルリン市の友好都市提携30周年を祝して、「Berlin–Tokyo Express」と題し、同市とのコラボレーションのもと、両都市を拠点とする多彩なアーティストの作品がAWT BUSに展示されます。
歴史を題材とした写真作品で知られるアンドレアス・ミューエによる初の彫刻作品《Bunker – Real Historical Space》から、マルテ・バーチュのインタラクティブな《Time Machine》、ルチア・ケンプケスがストーンペーパーで生み出すレリーフなど、両都市の文化や創造性が交差する作品の数々をバスで移動しながらお楽しみください。キュレーターは、ベルリン観光局(visitBerlin)のアート&カルチャー担当ディレクターであるルッツ・ハンケが務めます。
バスのご利用方法
バスのご利用方法
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キャップをかぶったAWTのスタッフにお声がけください。
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初めてご乗車になる際は無料のAWT参加証(リストバンド)をお受け取りください。乗車後、すべての停留所で音声による案内がありますので、目的地で降車してください。
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バスは約15分間隔で巡回しています(時刻表はございません)。
バスルート
バスルート
Aルート
A1 東京国立近代美術館(竹橋)→A2 ミヅマアートギャラリー(飯田橋)→A3 ウェイティングルーム(江戸川橋)→A4 タリオンギャラリー(目白)→A5 フイギユア、ミサコ&ローゼン(大塚)→A6 XYZコレクティブ(巣鴨)→A7 カヨコユウキ(駒込)→A8 スカイザバスハウス(根津)
マルテ・バーチュ《Time Machine》
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《Time Machine》
《Time Machine》(2013年~)は現在も進行中のプロジェクト。これまでギャラリーやインスティテューション、私的空間など、世界中の様々な場所の壁に計45台のデバイス「Time Machine™」が取り付けられ、それらが繋がってネットワークを形成している。《Time Machine》は鑑賞者が操作できる作品だ。「Press(押す)」と書かれた小さな赤いボタンを押すと、装置の場所や日付、時刻、作動時間(秒単位)、そして全ての《タイム・マシン》のネットワーク化を通じて生成された固有のシリアルナンバー枯れたがレシートが発行される。バーチュはこの《Time Machine》を通じて、時間の喪失や労働時間、報酬、接続性といった現代的な現象について考察する空間を創出しようとした。彼はまたこの作品を「レシート自体を鑑賞者が持ち帰ることのできる芸術作品」とし、芸術作品の定義に関する美術史的議論にも一石を投じている。なお《Time Machine》は共有サーバーで接続されており、その挙動のすべては(tm.maltebartsch.de)に登録されている。世界のどこかで「Time Machine™」が起動されるたび、その挙動はオンラインデータベース(tm.maltebartsch.de)に登録される。
マルテ・バーチュ
ベルリンを拠点に活動する彫刻家およびインスタレーション・アーティスト。思弁的実在論とミニマリスト的アプローチを採用し、作品を通じて技術革新と日常生活の交差点を探求してきた。作品には日用品が頻繁に登場し、現代の人やモノの時間的・空間的力学を探索し、進歩や変化に関する観る者の認識に疑問を投げかける。キネティック・アート、インタラクティブなインスタレーション、パフォーマンスなど様々なかたちで発表される彼の作品は、人工と有機的なものの間に詩的な対話を生み出し、鑑賞者に現代性の社会物理的な影響と人間の経験の儚い性質について考察するよう促す。
Bルート
B1 AWT VIDEO(三井住友銀行東館、大手町)→B2 東京国立近代美術館(竹橋)→B3 タグチファインアート(三越前)→B4 無人島プロダクション(錦糸町)→B5 カナカワニシギャラリー(清澄白河)→B6 東京都現代美術館(清澄白河)→B7 ハギワラプロジェクツ(清澄白河)→B8 乗り換え地点→B9 アーティゾン美術館、小山登美夫ギャラリー(京橋)→B10 ギャラリー小柳、シャネル・ネクサス・ホール(銀座)→B11 銀座メゾンエルメス フォーラム(銀座)→B12 東京画廊+BTAP、資生堂ギャラリー(銀座)
サンティアゴ・シエラ《BERLIN RECORDED THROUGH SILOS 9 AND 16》《85 TEETH OF WAR REFUGEES FROM YEMEN AND SYRIA》
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《BERLIN RECORDED THROUGH SILOS 9 AND 16》《85 TEETH OF WAR REFUGEES FROM YEMEN AND SYRIA》
サンティアゴ・シエラの創作活動において、サウンドピースは重要な立ち位置にある。そのひとつ《BERLIN RECORDED THROUGH SILOS 9 AND 16》において、シエラは「静寂」を録音してレコードに刻むことを目的にベルリンでの音響実験を実施した。録音場所として選ばれたのは、市街地に位置する2つの空の穀物倉だ。もともと西ベルリンの秘密の備蓄施設として建設されたこのコンクリートの構造物は、予想に反して静寂ではなく、都市の音風景を増幅させる効果をもたらし、人々のベルリンに対する想像力を刺激する結果となった。
また、シエラは2008年から、労働者や社会的弱者の歯を撮影するプロジェクトも続けている。これは動物界と現代社会を結ぶ原初的な仕草である「歯を見せる」という行為についての考察であり、写真は公共の場所を含め幅広い場所で展示されている。「Berlin–Tokyo Express」では、日本人創作家集団により2017年に創業されたファッションブランド「LES SIX」とのコラボレーションのもと、AWTバスのBルートを担当するスタッフの制服に、シリーズ最新作である《85 TEETH OF WAR REFUGEES FROM YEMEN AND SYRIA 》(2023年)の写真をいくつか厳選してプリントしている。
サンティアゴ・シエラ
1966年スペイン・マドリード生まれ。既存の現代アートの表現を用いながら、西洋近代の暴力や不正義を暴く作品を制作する。冷徹かつ観るものに距離を感じさせるようなミニマリズムの手法をもって、人々を非人間的な生産活動や生活環境へと追いやる抽象的な経済システムや制度的構造を表現してきた。彼はまた、第三者との交渉を通じて公共空間でのアクションを実現させることでも知られており、これによって資本主義の物質主義的な手続きや、労働搾取における構造的な暴力を浮き彫りにしてきた。
Cルート
C1 AWT FOCUS(大倉集古館、虎ノ門)→C2 PGI(麻布十番)→C3 タケニナガワ(麻布十番)→C4 カイカイキキギャラリー(広尾)→C5 乗り換え地点→C6 MEM(恵比寿)→C7 東京都写真美術館(恵比寿)→C8 ポエティック・スケープ(中目黒)→C9 リーサヤ(目黒)→C10 タクロウソメヤコンテンポラリーアート、コウサクカネチカ(天王洲)→C11 東京都庭園美術館(目黒)→C12 乗り換え地点→C13 ミサシンギャラリー(広尾)→C14 ペース(麻布台)
ルチア・ケンプケス《A Stream of Thoughts to Detach Us from the Current》
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《A Stream of Thoughts to Detach Us from the Current》
《A Stream of Thoughts to Detach Us from the Current》は、移動中の一時的な存在の本質を探求する作品だ。めまぐるしく変わる風景に、私たちの記憶や場所への期待が重ね合わされる様子を表現している。作品の構成にあたり、ケンプケスはストーンペーパーを使い、日よけを始めとするクルマやバスの装飾品のレプリカを制作した。紫外線B波を受けてゆっくりと溶解するこれらのレプリカは、移動という儚い体験の本質を表す。《A Stream of Thoughts to Detach Us from the Current》の核となっているのは、バスの座席の布地にチューインガムで描かれた絵画だ。ケンプケスはこの絵を通じて、何かが起こるのを待っている間に頭に浮かんでくる、子どものころの記憶や思考を表現した。彼女のインスタレーションは、移動の体験が一次的であることを受け止めながら、過去、現在、そして未来について考えるよう鑑賞者を誘う。
ルチア・ケンプケス
1988年、ドイツのクサンテン生まれ。ベルリン芸術大学客員教授。移動や風景、そして人がそれらを体験するために生み出した材料や物体に対する社会的、文化的、そして個人的なつながりを探求する作品を制作するアーティスト。ドローイングや彫刻、カーペット織り、映像を巧みに組み合わせた没入型のコンセプチュアル・インスタレーションを通じて、オンラインとオフラインで風景との関係がどのように進化するかを検証している。ベルリン自由大学で生物学と哲学を、ベルリン芸術大学とニューヨークのスクール・オブ・ビジュアル・アーツで美術を学び、ソウル市立美術館のナンジ・レジデンシー、ニューヨークのパイオニア・ワークス、チューリッヒのロテ・ファブリクなどのインスティテューションでアーティスト・イン・レジデンスを行なう。
Dルート
D1 AWT BAR(表参道)→D2 プラダ 青山店、ファーガス・マカフリー(表参道)→D3 ワタリウム美術館(外苑前)→D4 ケンナカハシ(新宿)→D5 東京オペラシティ アートギャラリー(初台)→D6 ギャラリー38(原宿)→D7 ナンヅカアンダーグラウンド(原宿)→D8 ブラム(原宿)→D9 AWT BAR(表参道)→D10 国立新美術館、日動コンテンポラリーアート(六本木)→D11 森美術館(六本木)→D12 スノーコンテンポラリー(六本木)
パウルあゆみ《息の姿》
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《息の姿》
パウルあゆみの芸術表現は、万物の繋がりを認識する観察的なアプローチに基づいている。2024年にベルリンのゲオルク・コルベ美術館の委託を受けて制作された作品「息の姿」は、一枚の貴重な梨の木材から作られた12脚の椅子と和紙、そして12の呼吸法で構成されるインスタレーションだ。来場者が椅子を自由に動かせるようになっており、形と配置は絶えず変化する。「Berlin–Tokyo Express」では、バスの窓にひっそりと8つの呼吸法の指示が配置されているが、これは作品を本来の文脈を超えて展開させようとするパウルの意思を反映したものだ。この作品は私たちが呼吸をするだけで自然と一部となっていること、そして私たちの周りと内側に存在する生命の美しさと複雑さを思い起こさせる。
パウルあゆみ
1980年ドイツ生まれ。聴くという行為と非線形的な時間をテーマに作品を制作するアーティスト。クラシックのバイオリニストとしての教育を受けたバックグラウンドをもとに、音が知覚や人々のつながりをどのように形作るかを探求し、紙や織物、音声録音などの素材を作品に取り入れている。そのプロジェクトの多くは、科学的研究と身体本来の感覚方法を融合させた新しい表現方法を生み出す。最近の展示に、シンガポール・ナショナル・ギャラリー、サンフランシスコ近代美術館、ベルリンのグロピウス・バウ、ベルリンのゲオルク・コルベ美術館など。2021年にはローマのヴィラ・マッシモのフェローシップを受賞し、現在進行中の作品《ザ・シンギング・プロジェクト》(2020年~)は、22年にアーティスト・イン・レジデンスを務めたグロピウス・バウで展開されている。
Eルート(AWT FOCUS→六本木方面)
E1 AWT FOCUS(大倉集古館、虎ノ門)→E2 オオタファインアーツ、コタロウヌカガ、シュウゴアーツ、タカ・イシイギャラリー、タロウナス、ペロタン東京、ユタカキクタケギャラリー、ユミコチバアソシエイツ(六本木)→E3 AWT BAR(表参道)→E2へ戻る
ヤン・ヴォー《無題》
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《無題》
花は長年ヴォーにとって重要なテーマであり続けてきた。それはもしかしたら、花が植民地主義の奇妙な力、つまり美しいものを独占し、我がものとする力を象徴しているからかもしれない。キャリアの初期、ヴォーはスウェーデンの植物学者カール・フォン・リンネの花の絵を印刷したタイルや壁紙を制作した。また最近では、ベルリン近郊のギュルデンホフにある自邸の庭に育つ花の写真や、ベルリンのドイツ系ベトナム人家族が経営する花屋で撮影したよりダークなイメージの写真を発表している。過去の花、現在の花、外国の花、国内の花。これらの植物の移動や成長、進化の歴史は、人間の文化そのものと同じくらい複雑で絡み合うものだ。リンネは二名法という分類システムを発明し、世界中の植物に自分の論理を押し付けた。花は、その名付け方や移動の仕方によって、権力を反映するかもしれない。しかし、花には抵抗力もある。花はこの世界から逃れる美的な避難所にもなり得るのだ。
ヤン・ヴォー
1975年ベトナム生まれ。過去の誰かの持ち物や何か重要な出来事に関係した物、誰もが知っているシンボルなど、この世界で何かしらの意味合いをもつようになった物体や画像を扱うアーティスト。その作品は、個人的な関係や偶然の出会いにオープンな彼の姿勢を表現する。彼の作品はまた、異なる要素を次々と組み合わせるとどうなるかを問うような、拡大し多様化する実験の連鎖ともなる。このアプローチは現在を形作る歴史の層を一つひとつ掘り起こしたいという彼の願いからくるものだ。その探求の対象には、例えば権力や歴史、エロティシズム、個人の人生、国の崩壊、世界の拡大といったテーマが含まれる。1979年に家族とともにデンマークへ逃れてきたヴォーの作品は、現代の生活が不安定で常に変化していることを表す。
Fルート(AWT FOCUS→日本橋方面)
F1 AWT FOCUS(大倉集古館、虎ノ門)→F2 AWT VIDEO(三井住友銀行東館、大手町)
アンドレアス・ミューエ《Bunker – Real Historical Space》
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《Bunker – Real Historical Space》
ドイツからフランス海岸に残る巨大なコンクリート製の施設「掩体壕(banker)」は、ナチスドイツ時代の「ヨーロッパ要塞」を不気味に想起させる存在だ。都市の中心部にも見られるこれらの巨大で破壊不可能な構造物は暗い過去に根ざす一方、その純粋な実用性と原始的な形態が、それらを時間と場所から切り離している。矛盾するようだが、これらは歴史の流れを体現し、攻撃と防御の両方を表しているのだ。フランスの海岸にある掩体壕はいまや遊び場となった。しかし、世界の他の場所では、いまも戦争のために新しい掩体壕が建設され続けている。自身初の彫刻作品である《Bunker—Realer Raum der Geschichte》で、ミューエは巨大で硬い防空壕を小さく柔らかいおもちゃのような物体として表現した。独ザクセン・アンハルト州の老舗玩具メーカーであるKösener Spielzeug Manufakturによって制作されたこれらの「抱きしめられる掩体壕」は、展示空間を無害な小さな生き物の海のように満たす。重く粗い存在から触れると柔らかい遊び心のある存在へと変化させられた掩体壕は、それでもなお歴史的重要性の潜在的な緊張と、掩体壕の「軍隊」として見える余地を残す。
アンドレアス・ミューエ
1979年、ドイツ生まれ。ベルリンを拠点に活躍する。物議を醸すような歴史的出来事を主題に、構図を入念に作り込んだ大判のアナログ写真を制作することで有名。ドイツの過去、特に1945年以降と旧東ドイツ時代を題材とすることが多く、作品を通じて集合的記憶と歴史叙述を振り返っている。主なプロジェクトに『Obersalzberg』(2010年~2012年)、『Wandlitz』(2011年)、『Mischpoche』(2018年)、『Biorobot I』(2020年)、『Biorobot II』(2021年)など。どの作品も画像の人工性を強調し、デジタル時代における歴史への認識に疑問を投げかけ、社会を形成する画像の力を検証している。『Bunker—Realer Raum der Geschichte』(2024年)は、ミューエが初めて手がける彫刻的インスタレーション作品。「写真とは光の彫刻である」という彼の信念を反映する。
AWT BAR
上田舞《TO SEE THE WIND》
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《TO SEE THE WIND》
アーティストの上田舞による特別な茶会。使われる茶碗は、上田のアーティスト仲間であり、彼女と頻繁にコラボレーションをしているリクリット・ティラヴァーニャが制作したものだ。上田は、この体験についてこう語る。「私が点てるお茶は、参加者の皆様に、この場所に至るまでの過程が露地を歩むかのようであったと感じていただくことを意図しています。露地とは、日常を離れ、茶室という特別な時空間へと誘う茶庭のこと。一服一服が、座禅を組み、鐘の音を聞くような体験となります。参加者一人ひとりが、この時を過ごす前とは少し異なる体験を胸に茶室を後にされるでしょう」
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開催日時
11月8日(金)12:00
11月9日(土)11:00
上田舞
日常生活に潜む瞬間や物事をアートとして見立てる”とんち”を通してオーディエンス自らが気づきを持てるよう助長したい。2000年よりニューヨークを拠点に現代アートの世界でパフォーマンス、詞、デザインを通して表現し活動する。世界を旅し、順応性を創造性とし追求する。茶の湯と出会い、2014年にチャーティスト集団、ワールドティーギャザリングを発足させる。世界中の美術館やアートイベントでの展示や発表のほか ”ドメインポエム” “drawings from my previous life” “visionair sound” “neen” などの本やレコードなどを出版している。