MEM
展覧会
展覧会
「モノ」と「コト」と「イメージ」をめぐって
「もの」と「こと」は、日本語での思考をかたちづくる重要な概念と言われる。美術作品も、このふたつの言葉を巡ってつくられると言えるだろう。「もの」は「空間のある部分を占め、人間の感覚でとらえることのできる形をもつ対象」、「こと」は「思考・意識の対象となるものや、現象・行為・性質など抽象的なものをさす語」と国語辞書にはある。それぞれに「物」「者」、「事」「言」と漢字を当て嵌めることで、より深い思索の森が広がっていく。そこへさらに「イメージ」という言葉を加え、立ち現れてくる新たな風景がある。展示作家の一人である大西茂(1928–1994)は数学者としての研究と同時に、実験的な写真作品や墨による抽象画を制作した、異色の表現者。瀧口修造やミシェル・タピエら評論家とも交流しながら独自の実践を続けた。本展では「モノ」「コト」「イメージ」をめぐる表現を、大西を含む複数のギャラリーアーティストの作品を通して紹介する。
会場
会場
MEM
- C6
- 恵比寿
MEM(Multiply Encoded Messages)は、1997年大阪・四天王寺で設立。2010年に恵比寿のナディッフアパートに移転、現在に至る。森村泰昌、石原友明、松井智惠をはじめとする1980年代に台頭した関西の代表的作家の紹介を中心に出発し、同時代の作家と共に彼らの作品が初めて発表される現場を共同でつくり上げ、長期的にアーティストの仕事をサポートしている。戦前・戦後初期に活躍した近代期の作家たちの仕事を調査し、当時の社会との関係の中でどのように作品が生まれ、変化・発展していったか、美術史や写真史の中でどのように位置付けられたかを検証している。これらの調査資料のアーカイブは、ギャラリーのウェブサイトなどで公開している。