富井玲子

東京はどこにある?
—日本の1960年代美術を「オペレーション」という概念から考える

「東京はどこにある?」という一見自明な質問から出発して、世界美術史の大枠を再考する。そのために新たに作家の「表現(expression)」に対応して「オペレーション(operation)」の概念を導入する。オペレーションという概念は日本において戦前から戦後にまたがる通史的視点を可能にすると同時に、複数のモダニズムやグローバル・コンテンポラリーアートにおいても有効な問題意識として期待できる。本トークではその参考事例として、日本の1960年代美術から具体美術協会および自主アンデパンダン展運動のふたつを選びオペレーションの視点から分析する。

富井玲子

美術史家。1988年テキサス大学オースティン校美術史学科博士課程修了。以後ニューヨーク在住、国際現代美術センター(CICA)の上級研究員を経て1992年より無所属、世界美術史における日本の1960年代美術を中心に研究。「ポンジャ現懇」(ponja-genkon.net)を2003年に設立、主宰。英文単著『荒野のラジカリズム―国際的同時性と日本の1960年代美術』(MIT大学出版局、2016年)がロバート・マザーウェル出版賞を受賞。同書をもとに「荒野のラジカリズム―グローバル1960年代の日本のアーティスト」展をジャパン・ソサエティ(ニューヨーク)で企画(2019年)。令和2年度文化庁長官表彰(文化発信・国際交流-日本美術研究)を受賞。